【読者体験談】近寄ってはいけない禁忌ノ窓

最近、ホラー映画や怪談系のコンテンツがまた流行ってますよね。そういうの見てるうちに、ふと昔のことを思い出しました。

これは、僕が大学生だった頃に実際に体験したことです。
大げさな話じゃないし、派手な霊が出てきたりはしません。
ただ、いまだに「あれって何だったんだろう」と考えてしまう、そんな妙にリアルで静かな怖さがある体験談です。
※一部手を加えている部分がありますのでご了承ください。


あれは大学3年の春。
私は、深夜に急な腹痛に襲われて、そのまま救急車で運ばれました。
診断は急性虫垂炎。つまり盲腸です。翌日すぐ手術になって、術後は数日入院という流れでした。

空いてた病室は四人部屋で、建物の端っこのほうにあり、窓からは中庭が見えて、特に古いわけでも、暗い雰囲気があるわけでもない、ごく普通の病室でした。

ただ、最初に部屋に案内されたとき、看護師さんがちょっと妙な反応をしたんですよね。

ドアを開けて部屋に入ると、彼女は一瞬立ち止まって、窓のほうをじっと見ていました。
それから小さくつぶやいたんです。

「…今日は閉まってるね。」

僕は聞き逃しませんでした。すかさず
「え? 何が閉まってるんですか?」と聞いた。

すると看護師さんは
「あ、ううん。気にしないで。なんでもないから」
と軽く笑ってごまかされたけど、その言い方が妙に引っかかる。

僕のベッドは窓際。一番奥の位置でした。カーテン越しに他の患者さんも見えましたが、みんな静かに眠っているようでした。
術後の麻酔が切れ始めて、ぼーっと天井を見ながら寝たり起きたりしていた夜のことです。

視界の隅に、ふわっと“白いもの”が通った気がしました。
気のせいかもしれないと思ったけど、その直後、窓の方から「カタン」という音が。

明らかに、何かが外から当たったような音。

起き上がってカーテンを開けてみると、窓が――10センチほど開いていたんです。

さっきまで閉まってたはずなのに。

「え?」と思って窓に近づこうとした瞬間、

「ダメッ!!」

背後から声がして、驚いて振り返ると、あの看護師さんが慌てて入ってきて、僕を押しのけるようにして窓を勢いよく閉めました。

「窓は触らないで。絶対に。」

その目が、本当に怖かった。冗談じゃない、本気の目でした。

翌日、少し体調が回復してナースステーションであの看護師さんに聞いてみました。

「昨日の夜、窓が開いてたんですけど…あれ、よくあるんですか?」

看護師さんは少し黙ったあと、小声でこう言いました。

「…あの病室の窓だけ、時々、勝手に開くんです。鍵をかけてても。」

それって、つまり――そういうことなんですか?と尋ねると、

「私はそういうの信じないようにしてる。でも…あの部屋だけはちょっと、ね」

あとから他の看護師さんに聞いたんですが、数年前、その病室にいた患者さんが夜中に窓から飛び降りたそうです。
精神的に不安定だったらしく、助からなかったとのこと。

それ以来、誰もいないのに窓が開くことがある。鍵を替えても、窓を新しくしてもダメ。
まるで、誰かがそこからまた出て行こうとしてるみたいに。

そして、それから患者さんが数人その窓から飛び降りていたことも涙ながらに教えてくれた。

退院までの数日は、ずっとカーテンを閉めたままで過ごしました。
夜中にまた音がしたらと思うと、窓に背を向けて眠るのが怖かったんです。

退院の日、荷物をまとめてナースコールを押したら、あの看護師さんが来てこう言われた。

「この部屋にまた入ることがあって、窓の音がしても見に行かないでくださいね。」と
笑いながら言っていたけど、その目は笑っていませんでした。

今でも、夜中に自宅で「カタン」って窓の音がすると、あの病室のことを思い出してしまいます。
なんでもない音なのに、心臓がドキッとするんです。

あの部屋は、今もあって、ただの偶然だったのかもしれないし、疲れてて敏感になってただけかもしれない。
でも、“あの目”をした看護師さんの反応だけは、演技じゃないと思ってます。

10年経っても忘れられない夜。
もし、窓に向かっていたらと思うと・・・
僕にとっては、今でも洒落にならない体験の一つです。

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